「実店舗への送客を狙うECサイト」型
貴社ビジネスのマーケティングタイプは、「実店舗への送客を狙うECサイト」型です。
百貨店、量販店、メーカーなど、これまでリアル店舗で商売してきた企業が立ち上げたECサイトが該当します。
ECサイトの戦略
こうしたECサイトは、戦略がなく、存在意義すら曖昧なことが多いです。ECサイトを立ち上げる前に、ゴールを明確にしておくことが重要です。
顧客視点に立つと、実店舗でいつでも買える商品をわざわざ送料を支払ってECサイトで買う必要はありません。ECサイトは、手に取ってみることもできません。持ち運ぶには大きすぎるものを買う時か、梅雨などで外出できない時くらいしか利用しません。また、こうしたECサイトは、商習慣上、値下げができないことが多いです。
このようなECの限界を認識した上で、ゴールを設定する必要があります。
まず、ゴールを「実店舗の売上向上」にするか、「ECサイトの売上向上」にするかを決める必要があります。
「ECサイトの売上向上」をゴールにする場合
「ECサイトの売上向上」をゴールにする場合、実店舗との関係の抜本的な見直しを必要になります。この場合は、「一般的なECサイト」の型(https://con-saru.com/check-type/marketing/web/ec/multi-items/ec-main/)を参考にしてください。さらに、実店舗からECサイトへ積極的に送客する必要があります。
例えば、アパレルの実店舗で、店員さんについたファンが店員さんが書くブログを見てECサイトで商品購入するケースがあります。この場合、ECの売上がいくら増えても、店員さんにとってメリットが無ければ、ブログを書くモチベーションは続かないでしょう。実店舗とECの協力関係を、評価システムから抜本的に見直す必要があります。
「実店舗の売上向上」をゴールにする場合
「実店舗の売上向上」をゴールにする場合、ECサイトは「実店舗への送客」を目的として運営します。極端に言うと、ECサイトの売上は0円でも良いということです。顧客は、既に商品のファンであり、ECサイトをカタログ代わりに利用することになります。このECサイトのKPIは、「閲覧商品点数」、「実店舗在庫の確認数」、「スクリーンショット回数」など、実店舗での購買額と相関性が高い項目になります。
以下、「実店舗の売上向上」をゴールにした場合の施策を記述します。
3つのフェーズ毎の施策
"顧客が購入するまでの流れ"を3つのフェーズに分け、それぞれのフェーズにおける効果的な施策を解説します。「実店舗の売上向上」をゴールにした場合のECサイトの役割は、「リピート」フェーズにフォーカスすべきです。
「日常生活」フェーズ
悪い例:
- ストックにならない認知広告の出稿
- ロゴ、デザインの刷新
「初回購入」フェーズ
悪い例:
- 新規ROASを目標として設定してしまう。
- Webサイトのデザイン・リニューアル
- サイト構造を大幅に見直すSEO施策
「リピート」フェーズ
「リピート」フェーズのゴールは、既存顧客のLTVを高めることです。最も重要な施策は、「LTVを最大化する商品」を作ることです。新商品という「コンテンツ」と、ECサイトでの「ルーティン」を作ることで、既存顧客の可処分時間を獲得し、LTVを高めることができます。
良い例:
- 「LTVを最大化する商品」の開発
- 定期的なメルマガ配信
悪い例:
- 在庫処分やイベントのために惰性で企画される特集
- メイン導線以外の改善や細かいABテスト